その光を、追いかけて。




「ひ、仁葉っ」

「なぁに、梓ちゃん」

「吉田先生が見てるわよ……」



うわぁ、本当だ。

教員たちのスペースから、目を怒らせた先生がちらちらと見えている。

怖い。



「これはあとで3人でお説教コースだねぇ」

「まじかよ」

「坂元だけでいいのに」

「1番話してたのは仁葉だけどね」



てへへ、と笑いながらのコメント。

その通りと首を縦に振る坂元くんと、そんなまさかと横に振る梓ちゃん。

ふたりの対極の反応が面白い。






正直ふたりとも、仁葉に巻きこまれている。

でもね、それでいいと思うの。



3人で一緒に怒られて。

3人で一緒に罰掃除なんかして。

仲よくなるためには、同じ空間に少しでも長くいることが大切になってくる。



きっと、坂元くんは罰掃除もサボらない。

なんだかんだで真面目と見た!



こうやって、少しずつ仲よくなっていこう。

ピリピリした空気を発してひとりきりなんて、そんなのダメだよ。



小声で、だけどかなり目立ちつつも騒ぐふたりを見て、仁葉はふふーっと口元を押さえて笑った。






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