その光を、追いかけて。




テニス部、バスケ部、ソフトボールに卓球。

もちろん文芸部や放送部、美術部なんかの文化部の子たちも。



みんな、みんなお互いを大切に思ってる。

人前でけなせるくらい、親しい関係を築けている。



────坂元くんだって、おんなじだったんだ。



仁葉はまともに部活に入ったことはないからいないけど、それでもわかる……。










仲間、だったんだよね。










毎日、一緒に部活して。

競い合って、成長して、泣いて笑って時間を共にして。



なくしたくなかったはず。

みんな、そう思ってたはず。



すれ違ってしまった。

だけど、今でも坂元くんが柚季さんたちのことを思っているように、きっと彼女たちも坂元くんのことを思っているはず。

ふとした瞬間によぎる存在のはずだよ。



1度でも大切になった人をなくしたこと、後悔しないわけがない。



「うん……うん。みんな、ありがとう」

「え? どういたしまして?」



不思議そうに傾げたみんなの向こうに、珍しく遅刻ギリギリの梓ちゃんの姿を見つけて、話をたたむ。

仁葉にだっている、大切な人に笑顔を向けた。






< 163 / 421 >

この作品をシェア

pagetop