その光を、追いかけて。
7月に入って、毎日のように降っていた雨が止んだ。
梅雨が終わって初夏がきた今日この頃、放課後の帰り道。
梓ちゃんとたわいない話をしている時間。
いつも通りの雰囲気に思わず心が焦る。
梓ちゃんに相談したいことがあるのに、勇気が出せずにもごもごと。
もう、……もう。
頑張ってよ、仁葉。
ひとりで勝手にまごついていると、ぴたり。
梓ちゃんが足を止める。
「梓ちゃん?」
どうしたの、と声をかけるとため息を吐かれる。
仁葉は仕方がないなぁ、って待って待って。なんの話?
「言いたいこと、あるんでしょう?」
「っ、」
「あたし、仁葉の話なら、なんだって聞いてあげるから。
話してごらんなさいよ」
どうして、梓ちゃんにはわかっちゃうんだろうね。
……ううん、本当は知ってる。
梓ちゃんがいつも、仁葉のことを見てくれてるから。
優しいからだよね。