その光を、追いかけて。




「梓ちゃんは?」

「え?」

「梓ちゃんは坂元くんのこと、好き?」



ぴしりと表情を固めて、顔をしかめる。

全力で嫌そうにしてるね。



「き、嫌いじゃない、わ……?」

「それ、前にも言ってたね。
……それで? どっち?」



好きか嫌いか。

今回はその二択だよ。



じーっと見つめると、目をそらして、



「3人で話してるのは……好きよ。
それなりに」



そう呟いた。



「それなりにって余計だよー」

「だって、あたしは仁葉のことが好きだもの。ふたりだけの方がいいに決まってるじゃない!」

「照れなくていいよ。
仁葉も坂元くんのこと、大好きだから!」



えへへー、と笑うとなにかが吹っ切れたみたい。

7月の熱くてぬるい風に嫌悪感がなくなって、爽やかな気持ちになる。






ねぇ、坂元くん。

仁葉も梓ちゃんも君が好きだよ。

君の優しさに気づいているよ。



だから、待ってて。

すぐに君の元に行くから。






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