その光を、追いかけて。
「おはよう仁葉ー」
「おはよー!」
「あ、鈴宮、髪跳ねてんぞ」
「え⁈ きゃー、ヤバいヤバい!」
──2年生になって1週間が過ぎた。
クラスにも慣れて、順調な毎日。
仁葉は昔から人の名前を覚えるのは早いから、すぐにみんなの名前を呼べるようになった。
朝、教室に入ってくる人がいれば、みんな気軽に挨拶を口にする。
今年のクラスはなかなかフレンドリーみたい。
ただひとり……坂元くんを除いて。
「坂元くん、おはよー!」
「……」
自分の席に荷物を置きながら、声をかける。
そして、返事のない彼の席の前に立って、机にトンと手をついた。
うーん、毎日飽きずに挨拶してるけど、最近はピクリとも反応を示さなくなってきた。
坂元くんってば、仁葉に声をかけられることに慣れちゃった?