その光を、追いかけて。




いつも通り、頬杖をついて、彼の目線は窓の外。

グラウンドの方が気になるみたい。



こんなに外を見るのが好きなんだから、窓際の席だったらよかったのにね。



開いた窓から入る風に、今日も髪が揺れている。



ふわふわ、ふわふわ。

ずっと見てたら春のあたたかさから、思わずうとうとしちゃいそうだ。






「仁葉ーっ!」



どっかーん。

梓ちゃんが仁葉に飛びついてきた。

今日も飽きずにすごい勢いだね。



仁葉が勝手に感じていた、坂元くんとののほほんとした空気。

それが、シャボン玉みたいにパッと弾けて消える。



「わー! もう、びっくりしたよー」



見上げればふふ、と楽しそうな梓ちゃん。






< 20 / 421 >

この作品をシェア

pagetop