その光を、追いかけて。
目の前にどんどん迫ってきているように感じる数式。
最大限まで近づいたと思ったら、すり抜けていく感覚がする。
同じ文章を何度も読んでいるはずなのに、問題文が頭に入ってこない。
ぼーっとしちゃだめだってわかってるんだけど……。
でも、だめ。
どうしても集中できないの。
「仁葉?
どこかわからないところでもあった?」
首を傾げて訊いてくれる梓ちゃんに抱きついた。
今日はこの前のカラオケの日に約束した勉強会。
梓ちゃんと、輝くんの3人で各自苦手科目を勉強している。
って言っても、ふたりはこれといって苦手科目はないから、仁葉に付き合って数学を解いたり。
あとは、仁葉でも解説できる現国を解いている。