その光を、追いかけて。
「あたしの仁葉に赤面してんじゃないわ気持ち悪い。
これだから男って嫌なのよ!」
「梓ちゃん……」
安定の容赦のなさ。
顔をしかめて嫌悪感丸出し。
「だ、誰が!」
ほらー、坂元くん怒ってるじゃん。
男嫌いなのは知ってるけど、ちょっと言い方ひどすぎるよね。
「仁葉には光さんがいるでしょ⁈
なのにこんな奴に好きとか簡単に言っちゃダメよ! あたしに言って!」
なんか最後、違うと思う。
それはそれでおかしいよね?
光ちゃんにだけって話じゃなかったの?
まぁ、確かに梓ちゃんのことも好きだけどさ。
「こう……?」
「うん、光ちゃん!
仁葉の幼馴染のお兄ちゃんだよ!
ずっと会えてないけど、大好きな人なんだ」
「……」
……あ、そっか。
なんで坂元くんの声が好きなのかわかった。
「坂元くんの声、ちょっと光ちゃんの声と似てるんだ」
大好きだった光ちゃんの声。
もう何年も聞いてなかったけど、まさかこんなところで似た声に出会えるなんて!