その光を、追いかけて。




「俺は光って男じゃない」

「あ、ごめんね。気に障った?
でもね、光ちゃんは本当に素敵な人だから……、」

「静かにするんじゃなかったのか?」



冷たい瞳。

トーンの変わった、その声。



ここまできて、仁葉はようやく気づいた。



坂元くんを怒らせちゃったってことに。



「……うん、そうだったよね。
ごめんなさい」

「ちょっと、」

「梓ちゃん! ……いいの」



今にも坂元くんに掴みかかりそうだった梓ちゃんをとめる。

袖をぎゅっと握って首を振った。



今のは、どう考えても仁葉が悪かったんだ。

だって坂元くんと違う人と、彼を比べたんだもん。



「坂元くん、本当にごめんね」



顔を歪めるように笑みを浮かべて、仁葉は自分の席についた。



せっかくおしゃべりしてくれてた坂元くんを嫌な気持ちにさせて。

本当に、仁葉はばかだなぁ……。






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