その光を、追いかけて。
「仁葉……仁葉、泣かないで。
約束を、しよう?」
光ちゃんが、顔を覆った仁葉の手に触れた。
「やく、そく……?」
「そう、約束」
ゆっくりと顔を上げた。
息を止めて、唇を噛み締めて、涙を必死に堪える。
「僕はまだ、生きる。
病気になんて、負けないよ。
だけど……何十年も生きることは無理なんだ」
「っ……」
「だからね、仁葉は長生きして。
たくさんの人と出会って、たくさんのことを知って、何十年も経ってから、命を終えて」
わかった? と顔を覗きこむ光ちゃん。
請うように瞳を合わされて、小さく頷く。
そんな風にお願いされて、仁葉が断れるわけない。
そんな悲しいお願いでも、聞きたくなくても、いいよって言ってあげるしかない。