その光を、追いかけて。








気まずくて、あれから坂元くんに話しかけられないまま3限目を迎えて。

今は仁葉が比較的得意な現国の時間。



「21pの3行目。
『しかし』のところから線引いて」



言われた通り、ピンクの蛍光ペンをキュッと引く。

そのまま先生の解説をノートにメモを取った。



「今のところが主人公の心情を表すからなー」



否定に続いているのは本当の気持ち。

そんなこと、すぐにわかった。



問題はとっても簡単。

深く考えなくても理解できる。



でも、これが現実だとそうは簡単にいかない。



わからないことだらけ。

うまくやれないことだらけ。



いつだって仁葉は間違えてばかりだね。



4年前も、5年前も、その前も。

ずっとずっと間違えてきた。

大切なものを傷つけてきた。



今も、仁葉は根本的なところでは変わっていないんだ。



大切にしたいものがあって。

救いたいものがあって。



どうしたらいいのかな。

どうしたら、仁葉は光ちゃんとの約束を守れるの……。






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