その光を、追いかけて。
*
気まずくて、あれから坂元くんに話しかけられないまま3限目を迎えて。
今は仁葉が比較的得意な現国の時間。
「21pの3行目。
『しかし』のところから線引いて」
言われた通り、ピンクの蛍光ペンをキュッと引く。
そのまま先生の解説をノートにメモを取った。
「今のところが主人公の心情を表すからなー」
否定に続いているのは本当の気持ち。
そんなこと、すぐにわかった。
問題はとっても簡単。
深く考えなくても理解できる。
でも、これが現実だとそうは簡単にいかない。
わからないことだらけ。
うまくやれないことだらけ。
いつだって仁葉は間違えてばかりだね。
4年前も、5年前も、その前も。
ずっとずっと間違えてきた。
大切なものを傷つけてきた。
今も、仁葉は根本的なところでは変わっていないんだ。
大切にしたいものがあって。
救いたいものがあって。
どうしたらいいのかな。
どうしたら、仁葉は光ちゃんとの約束を守れるの……。