その光を、追いかけて。




「ねぇ、仁葉。
あの約束、覚えてる?」

「あの約束?」

「2年前の、約束」



ひゅう、と息を吸いこんだ音がやけに大きく聞こえた。



忘れるわけがない。

むしろ、光ちゃんの方が忘れちゃったと思ってた。



仁葉だけの大切な約束だと思ってたそれは、



「仁葉が中学生になったら、……付き合って」

「うん。……うん」



光ちゃんが、仁葉のためにしてくれたそれは、元気にするために結ばれたもの。

4年前、そして今。



どちらも光ちゃんの想いは変わってなんかいないけど、仁葉のためにそこまでしてくれるその優しさ。



「いつか、もう1度会おうね」

「いつかじゃだめだよ。
中学生になったら彼氏なんだから、会ってくれなきゃやだ」

「はは、うん。
じゃあ仁葉が中学生になったら、もう1度会おう」



目を細めて光ちゃんが囁く。



「絶対に……会おうね」



うん、うん、と何度も頷いた。






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