その光を、追いかけて。
「じゃあ坂元」
突然呼ばれた坂元くんの名前に反応する。
立ち上がった彼の影が仁葉の机の上で揺れる。
どうやら先生が教科書を読むように指示したみたい。
「そうして彼は────」
きっと次は後ろの席の仁葉だよね。
慌てて教科書を目で追って、どこを読んでいるかを確認する。
淡々と、だけどちゃんと聞こえる。
とても優しい、坂元くんの声。
よくよく聞いたら、坂元くんの声は光ちゃんの声とは少し違う。
光ちゃんより高くて、どこか冷たい。
だけど、だけどね。
同じ声じゃなくても、仁葉の求めていた声と違っても。
それでもやっぱり、変わらず素敵だと思うんだ。