その光を、追いかけて。








「あ、仁葉ちゃん」



学校からの帰り道。

12月の寒さで、白い息を吐いていた。



家に入ろうとした仁葉に声をかけてきたのは……、



「光ちゃんママ!」



ぴょこん、とポーチを降りた。

ちょうどよかったわ、と笑う光ちゃんママが鞄の中をガサゴソと探しているのを大人しく待つ。



「はい、光からの手紙」



光ちゃんと会えなっても、音信不通みたいになるのはおかしいと手紙を出すことにしたの。

光ちゃんママを経由して、届けてもらってるんだ。



「きゃー、ありがとう!」



月に1・2回あったらいいくらいの手紙のやり取り。

光ちゃんが手紙を書くのは大変だから、あまり送ったら気をつかうからと仁葉も少なめにしている。



光ちゃんからの手紙はどんどん文字が震えてきて、少し読みづらい。

それでも、仁葉のために頑張って書いてくれるその優しさが胸に染みていくんだ。






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