その光を、追いかけて。




「仁葉ちゃん、光のこんなわがままに付き合ってくれてありがとう」



ぽつり、と呟かれた言葉に仁葉はきょとん、とする。



「会いに来ないで、なんてひどいこと。
せっかく来てくれてた仁葉ちゃんに失礼だったわ」

「え、え、」

「本当にごめんなさい」



深く頭を下げられて、仁葉はどうしたらいいんだろう。



「あのね、光ちゃんママ。
仁葉は嬉しいの」



そっと顔を上げてくれるように促しながら、仁葉は小さく笑う。



「光ちゃんが初めて自分のためにお願いしてくれたことだから。
だから、仁葉は叶えたいの」



仁葉のことばっかりな光ちゃん。

優しくて、損したり、大変なことになってたりした光ちゃん。



さみしいけど、こうやって返せることがあるなら、仁葉は我慢できるんだよ。






< 274 / 421 >

この作品をシェア

pagetop