その光を、追いかけて。
彼の声に耳を澄まして、心を寄せて。
瞳を閉じながら、仁葉はまた少しだけ自己嫌悪におちいりそうになる。
だけど。ああ、もう。
……だめだなぁ。
こんな風に落ちこんでちゃいけないよね。
仁葉がだめな子だなんて、ずっと前から知ってるし、そんなのは今さらだ。
そんなことを気にしてちゃ、仁葉はまた動けなくなる。
後ろは振り返らない。
前だけ見て、足を止めない。
そうやって駆けるように、ひたすらに生きるって、あの日そう決めた。
その決意は今も変わっていない。
変わることなんて、ありえないから。
だからね、仁葉は坂元くんにまた声をかけるよ。
どんな小さなことでも、ちゃんと笑顔を添えて。
何度でも、何度でも。