その光を、追いかけて。
「……光ちゃんママたちは、ずっとここにいるの?」
光ちゃんとの思い出でいっぱいのこの街に。
「ええ」
「どうして?」
きっと、仁葉よりずっと悲しいはずなのに。
仁葉よりずっと逃げ出したいはずなのに。
「少しでも、光の欠片をなくさないように、よ」
そっと微笑んだ表情に、仁葉は声を失う。
「仁葉ちゃんは悲しみを振り切るために去るわよね」
「うん」
だって、光ちゃんがここにいないなんて、そんな悲しくて怖いことはない。
受け入れられない。
受け入れられるような仁葉になりたくない。
「でも、私たちは街を出たって悲しいままだとわかっているから。
それならそばに感じていたいの。
光が過ごした場所を失うことはできないの」
ああ、それは、仁葉とは反対の選択だね。
相容れない。
重なることはない。