その光を、追いかけて。
*
その日の放課後。
終礼も終わり、みんな解放されて自由になる。
部活に行く人。
掃除をする人。
ダラダラともう1度席に着く人。
そんな中で、坂元くんは……早く帰ろうとする人。
ざわざわ、と揺らぐように響く教室の中。
仁葉自身のこくりと唾を飲みこむ音がやけに大きく聞こえる。
心臓、痛い。
ドキドキして、苦しくて、……怖い。
そうだよ、すごく怖いの。
拒否されたらって思ったら、どうしたらいいかわからなくなる。
だって、大切な人に受け入れてもらえないことの悲しさは、胸に重くいつまでも残るから。
仁葉はそれを知っているから。
それでも、
「さ、坂元くん!」
ガタン、と立ち上がり、勇気を出して呼び止める。
目の前でリュックを背負った彼が動きを止めた。
「────また、ね。また明日ね!」
おはよう、も。
また明日、も。
言える間は何度でも口にするよ。
だって、仁葉たちの間に壁はないもん。
距離なんて、ない。
ちゃんと伝わるはずだから。