その光を、追いかけて。








その日の放課後。

終礼も終わり、みんな解放されて自由になる。



部活に行く人。

掃除をする人。

ダラダラともう1度席に着く人。



そんな中で、坂元くんは……早く帰ろうとする人。



ざわざわ、と揺らぐように響く教室の中。

仁葉自身のこくりと唾を飲みこむ音がやけに大きく聞こえる。



心臓、痛い。

ドキドキして、苦しくて、……怖い。



そうだよ、すごく怖いの。

拒否されたらって思ったら、どうしたらいいかわからなくなる。



だって、大切な人に受け入れてもらえないことの悲しさは、胸に重くいつまでも残るから。

仁葉はそれを知っているから。



それでも、



「さ、坂元くん!」



ガタン、と立ち上がり、勇気を出して呼び止める。

目の前でリュックを背負った彼が動きを止めた。






「────また、ね。また明日ね!」






おはよう、も。

また明日、も。

言える間は何度でも口にするよ。



だって、仁葉たちの間に壁はないもん。

距離なんて、ない。



ちゃんと伝わるはずだから。






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