その光を、追いかけて。








大きく息を吸って、吐いて。

深呼吸をしたら、職員室に入る。



「失礼します。鈴宮です」

「ああ、転校生の。
ちょっと待ってて。
今、担任の先生を呼ぶから」



見知らぬ先生にそう対応されて、こくんとひとつ頷く。



その先生が席を立ったことでふぅ、と息を吐く。



視線を下げると、そこにはのりでパリッと乾いた膝丈のスカート。

紺のハイソックスに、デザインが今までとは違う上履き。

そして指定のカーディガンを羽織った仁葉はセーラー服姿で。



……そう。

今日はとうとう、中学校の入学式。






────本当だったら、光ちゃんと付き合うことになるはずだった日がきたの。






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