その光を、追いかけて。




見知らぬ人たちに混ざって座席表を見る。

えっと、……2列目の1番後ろが仁葉の席。



腰かけて、持ってきた荷物を少し整理して、机の中に仕舞う。



ふぅ、と息を吐いて周りを見る。



知らない人に、知らない机の配置。

知らない香りまでしている。



みんなおんなじなんだろうけど、仁葉は転校してきたって意識があるからかな。

余計にそう感じる。



「あの……」



仁葉は自分に声をかけてきた左の席の女の子を見つめる。



「あの、おおおお友だちに!
なって下さい!」



緊張したように肩を強張らせて、きゅううと目をつむる姿に思わずきょとん、とする。



ああ、そっか。

この子は仁葉と、光ちゃんのことを知らないんだ。



だから変に気をつかってきたり、ノリ悪くなったとか言い出さない。



────これは、新しい日々の始まりなんだ。






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