その光を、追いかけて。




『笑っていてね』



ふと、その言葉がよぎった。

光ちゃんの、言葉が。






光ちゃんに会いに行けばよかった。

光ちゃんの気持ちに寄り添えばよかった。



その後悔は消えない。



だけど、光ちゃんはもういないけど。

仁葉には光ちゃんが残してくれた約束がある。






────それを守らないでどうするの。






「はじめまして、鈴宮 仁葉です」

「は、はじめましてっ」

「あなたのお名前は?」



笑って、優しくして。

光ちゃんが悲しまないように、光ちゃんの望んだ仁葉になるよ。



光ちゃん、ごめんね。

守ってもらうばかりで、ごめんなさい。



謝っても謝りたいないから。



だからこそ、緊張で強張る頬を上げて。

────────仁葉は笑った。






























そうして、仁葉はもう2度と泣かないと誓った。






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