その光を、追いかけて。
「遅いわよこのクズ」
「あー、はいはい」
階段の上で偉そうに口にする梓に適当な返事を返す。
「……なんであんた、そんなに顔が赤いのよ」
「赤くねぇ!」
「え、なにその反応」
仁葉⁈ 仁葉なの⁈ とまとわりついてくる梓。
ああもう、うるさいな。
秘密だ、秘密。
仁葉とのこそばゆい出来事を簡単に言ってなんかやらねぇよ。
「……輝くんたち、なにしてるの?
入らないの?」
後ろから聞こえた声に、思わず体がびくりと反応した。
「入る」
即座にそう返して、仁葉の持つ紅茶やカップの乗った盆を受け取る。
こういうのって確か、結構重たいんだよな。
女の腕……しかも人より小さく細っこい仁葉にはしんどいだろう。
「わー、ごめんね。ありがとう!」
言葉を返されてこくりと頷いた。