その光を、追いかけて。




「……うん」






ほら、ね。

届いた。






背を向けたまま、確かに頷いた坂元くん。



「また明日」なんて返してくれたりなんて、そんなことはなかったけど。

それでもいいの。



仁葉の言葉を受け止めてくれた。

受け入れてくれた。



それって本当にすごいこと。

すごく、幸せなことだもん。



そのまま言葉を交わすことはなく、坂元くんは教室を出て行った。



実は同じ方面の電車に乗るみたいだから一緒に帰れたらいいんだけど……。

でも、それはまた今度。

今日はこれだけで十分。



いつか一緒に帰って、寄り道したり。

そんなことができるように仁葉がたくさん頑張るんだ。






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