その光を、追いかけて。








「お、……」



仁葉があごを引いて、小さくうめき始める。



「っ、お……」



どうした? と声をかけようとしたところで、仁葉が腕を伸ばし切る。



「終わったーっ!」



顔を上げた仁葉の、その晴々とした表情に肩の力を抜く。



どうやら課題が終わったらしい。

なんだかんだで質問しながらも自分で全部解いたし、時間がかかっててもまぁいいんじゃないかな。



世の中には写すだけのやつもいるくらいだし。



「ふたりは終わってたのに、仁葉に付き合わせちゃってごめんねーっ」

「いいよ、大丈夫」

「問題集を新学期の分まで進められたし、逆によかったかもしれないわ」



ううう、ありがとう……! と仁葉が瞳をきらきらとさせている。






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