その光を、追いかけて。




「結局なんだかんだでギリギリになっちゃってすごく焦ったよー」

「でも去年よりはましよね」

「去年がやばすぎたってこともあるけどね……」



俺の知らないふたりの思い出。

ただ、ふーん、と相槌を打つ。



去年はどうやら、よほど大変だったらしい。

ふたりともが遠い目をしていて、どこか怖い。



「そんなに?」

「最終日は梓ちゃんのおうちに泊まりこみでした」



うーん、……結構大変だよな、それ。

人の家に泊まるってそんなにしないし。



本当にギリギリだったんだな。



「でも、今年はなんとか終わったよ。
輝くんと梓ちゃんのおかげ!」



本当にありがとう、と笑う仁葉にどういたしまして、と返した。






< 304 / 421 >

この作品をシェア

pagetop