その光を、追いかけて。
「あ、紅茶なくなっちゃったよね。
おかわり持って来る!」
仁葉がポットと盆を持ってすくっと立ち上がる。
手伝う、とテーブルに手をついた梓にも大丈夫、と言い残し、部屋を出て行った。
「……ねぇ、輝」
「なに」
「仁葉、光さんとなにかあったのかしら」
ああ、なんだ。
こいつも仁葉の様子がおかしいことに気づいていたのか。
「そうなんじゃねぇの?」
「それでも……仁葉は光さんのことが好きなのよね」
────わかっていることだ。
今さらなにがあったって仁葉の気持ちは変わらない。
だって、もう5年くらい会っていなかったのにずっと好きだったんだ。
恋に恋をしているわけでもなく、本当に光さんを想っていた。
ただ、まっすぐに。