その光を、追いかけて。
きっとママはみんな知っている。
仁葉の周りに言えない秘密。
揺らぐ感情。
……ありがとう、ママ。
こんな娘なのに、愛してくれて、ありがとう。
でも、仁葉は本当は────、
ピーッという音に意識を戻す。
やかんのお湯が沸いたみたい。
慌てて止める。
ポットに新しく茶葉を入れて、お湯を注ぐ。
しばらく蒸らしたら上に持って上がろう。
それまでに仁葉の気持ちも落ち着けたらいいよね。
「ママ、心配してくれてありがとう。
でも仁葉は大丈夫だよ!」
「……そう」
あなたがそう言うならきっと、大丈夫ね。
なんて言いながらもママはわずかに心配そうな表情。
だから、笑う。
にっこりと、誰よりも幸せそうに。