その光を、追いかけて。
そのままリビングを出てトントン、と階段を上がって行く。
さっきと違ってお盆を持ってくれた輝くんはいないからそっと、そっと。
丁寧に扱う。
────ママも、梓ちゃんも、輝くんも。
仁葉が笑えば同じように返してくれる。
好きなんだよね。
望んでるんだよね。
誰よりも、光ちゃんが。
だから、大丈夫。
仁葉はいつだって笑っているから、平気だよ。
「よしっ」
気合を入れて、扉に手をかける。
「ふたりとも、おまたせ!」
部屋に足を踏み入れれば、表情の固まったふたりがすごい勢いで仁葉の方に顔をやる。
散らばった教科書やノート。
そしてなによりも衝撃的だったのは、梓ちゃんの手の中。
そこに、光ちゃんからの手紙を挟んでいた仁葉の日記があったことだった。
そうして仁葉は、ふたりが光ちゃんの死に気づいたこと。
────全ての終わりを理解した。