その光を、追いかけて。
「もしかしたら、仁葉が気づいてないだけで梓ちゃんだって嫌な想いをしてるかもしれないし」
「そんなことないわ!」
「そう?」
首をぶんぶん、と振る梓ちゃん。
仁葉はへにゃりと笑ってみせる。
その言葉が本当だったら、いいなぁ。
梓ちゃんは仁葉に甘いから、我慢してる可能性だってあるしね。
「じゃあね、もし梓ちゃんが仁葉のしたことで嫌だなーとか思ったら、ちゃんと言ってね。
坂元くんみたいに、ばかな仁葉でもわかるようにしてね」
約束だよ、と言えば、そんなことありえないとしぶりながらも了承してくれた梓ちゃん。
仁葉は「ありがとう」と抱きつく。
そのまま「帰りましょうか」と言った彼女のその優しい声に、目を閉じたまま仁葉はしっかりと頷いた。