その光を、追いかけて。
腕に触れていた手が離れて、わずかに温度が低くなった気がした。
きっともう、梓ちゃんは仁葉を追っては来ないね。
仁葉の優しくて、すごいと思っていたところが実は違って。
そんな素敵な理由じゃなかったことにショックを受けているんだよね。
でも、その方がいい。
これ以上、仁葉に構わないで欲しい。
仁葉に言葉を投げかけようとしたりしないで欲しい。
それはただ、胸が痛くて、とっても苦しいだけだから。
本当は優しくない。
そんな自分と向き合うのは、弱虫の仁葉には難しいんだ。
タンタン、と階段を降りる。
ひとりぼっちの帰り道は、静かでなんだか変な感じ。
だけど慣れなきゃいけないんだ、と唇を噛み締めた。