その光を、追いかけて。
ほてほてと帰り道を歩きながら、思い出すのはやっぱり光ちゃんのこと。
『傷だらけのままでも、歩いていたら、君の悲しい記憶はいつか愛おしい思い出になる』
その言葉が頭をよぎる。
それって、本当なのかな。
だって、仁葉は確かに傷だらけだよ。
歩かずに走っているけど、それでも前へと進んでいるはずなのに。
仁葉の記憶は思い出になんてなりそうにない。
それは、光ちゃんとのことを思い出になんてしたくないから?
ずっと、今現在のことだと捉えていたいと思っているから?
────仁葉が望んでいないからなの?
もし、そうだと言うなら。
……そのままでいい。
光ちゃんとのことが変わらずにいられるなら、なんだっていいよ。
だって変わることはとても怖い。
大人に近づくことは、君と遠ざかるということだから。