その光を、追いかけて。




ああ、最近は光ちゃんとのことを思い出してばかり。

必死で繋ぎとめようとしている自分に気づいて、なんだか複雑な心境になる。



悪いことじゃないのに、なんだか眉を下げてしまうような気持ち。



光ちゃんが幼い仁葉に笑って言ったのは、愛しいって言葉。



その意味を、仁葉は本当の意味でわかっているのかな。



光ちゃんに対する、この悲しくて泣きそうで泣けなくて、甘くてしょっぱい。

言葉になんてできない気持ちが、まとめて〝愛しい〟ということ?



……そうだったら、いいのになぁ。



だけど、違ったとしても。

それでも、仁葉が光ちゃんを好きだということだけは絶対だよ。



輝くんと梓ちゃんへの想いは振り切るように、電車に乗りこんだ。






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