その光を、追いかけて。
「この前、放課後に少し仁葉と話をしようとしたの」
聞いていなかった話題に、思わず顔を見つめる。
だけど梓は浮かない表情で……。
だめだったんだとすぐにわかった。
そうだよな。
あんなに俺たちを拒絶してるのに、そう簡単に話なんかできるわけがないよな。
「仁葉は出会った頃、あたしたちの過去を聞き出そうとしてこなかったじゃない」
「ああ」
「それは、なにも訊かれたくなかったからだったんだって言っていたわ」
「っ、」
ぽつぽつとこぼすように告げられた事実に胸が痛む。
「質問には質問で返ってくることがあるから、ってことか」
「そうみたい」
頷いた彼女を目の端で捉える。
なんだよそれ、と髪をぐしゃりとかき混ぜた。