その光を、追いかけて。
「仁葉、次のところ行くわよ」
「待って待って!」
4月末。
今日は仁葉のあんまり好きじゃない、体力測定の日。
男子も女子も入り混じり、あちこちで運動させられ記録をとられる。
つまり、仁葉の運動音痴が目立つの。
「うう、もうやだ。
仁葉は帰りたいです」
「あたしも仁葉がそう言うなら帰してあげたいわよ? でもそうもいかないじゃない」
「どうしても……だめ?」
そっと上目遣いに見つめてみる。
お願い、と手を組んだ。
「〜〜だめじゃないに決まってるわよ!
いいわ、あたしに任せて!
なにがあっても仁葉を逃がしてあげる!」
「嘘ですごめんなさい」
梓ちゃんに言うべきことじゃなかったね。
本当にやりかねない人だった。
怖い怖い。