その光を、追いかけて。




「仁葉、次のところ行くわよ」

「待って待って!」



4月末。

今日は仁葉のあんまり好きじゃない、体力測定の日。



男子も女子も入り混じり、あちこちで運動させられ記録をとられる。

つまり、仁葉の運動音痴が目立つの。



「うう、もうやだ。
仁葉は帰りたいです」

「あたしも仁葉がそう言うなら帰してあげたいわよ? でもそうもいかないじゃない」

「どうしても……だめ?」



そっと上目遣いに見つめてみる。

お願い、と手を組んだ。



「〜〜だめじゃないに決まってるわよ!
いいわ、あたしに任せて!
なにがあっても仁葉を逃がしてあげる!」

「嘘ですごめんなさい」



梓ちゃんに言うべきことじゃなかったね。

本当にやりかねない人だった。



怖い怖い。






< 35 / 421 >

この作品をシェア

pagetop