その光を、追いかけて。








あのあと、目を赤くしてしまった梓。

保健室で冷やしてくると言った彼女とは別行動。



ひとりで教室へと戻り、



「仁葉」



クラスの女子と菓子をつまみながら談笑していた彼女の机に手をついた。



「……話があるんだけど」



にこにこと笑って「うん」と応える。



もっと渋ると思っていたから、肩透かしを食らった気分だ。



「そろそろ輝くんが来るだろうなぁって思ってたんだ」



予想どおりだったってわけか。



「ここじゃ話せないよね。移動しよっか」

「……ん」



話していた女子にごめんね、と一声かけて仁葉が立ち上がる。



「悪いな」

「大丈夫。いってらっしゃーい」



ひらひらと手を振って、先に進み始めた仁葉。

俺は、その後ろに続いた。






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