その光を、追いかけて。




「あー……」



壁を背にして、ずるずると滑り、座りこむ。

手で顔を覆った。






仁葉の貼りつけたような笑顔が悔しくて。

仁葉の恥ずかしそうな表情が嬉しくて。

仁葉の拒絶した態度が苦しくて。



心の中、ぐちゃぐちゃ。

仁葉にかき乱されて、元に戻らない。



いつもどおりの自分に戻りたいような、そのままでいいような複雑な心境に襲われる。



ああ、だけど、



「最後の悲しそうな様子は、嫌だな……」



泣いて欲しいって思っておいて、矛盾してるけど。

それでも、仁葉にはいつも笑っていて欲しいんだ。



今までの笑顔じゃなくて。

心から、笑って欲しいんだ。






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