その光を、追いかけて。




ギィ、と重い扉を開ける。



ぬるいような、冷たいような。

そんな複雑な空気が流れる。



夏の乾いた熱を感じなくなっていたんだなぁ、と顔をひょっこり覗かせる。



……うん。誰もいない。



わーい貸し切りだ! と荷物をその場に置いて、フェンスの方へ行く。



それなりに、ここに来たことがあるはずなのに、ちゃんと周りを見たことがなかった。



グラウンドには部活を頑張る人たち。

ちょっと見にくいけど、校門の方には下校する人たち。



目線を上げてみれば、ビルや歩道橋。



そして……、



「綺麗だなぁ……」



吸いこまれそうな、空。



太陽の光がなにかに遮断されることなく、仁葉のところまで届く。

きらきら、眩しいね。






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