その光を、追いかけて。




ゆらりと緩慢な仕草で、手を上げる。

そっと、そっと。



あの頃と……光ちゃんがいた頃と違う。



対して大きくなってない仁葉だけど。

男の子より変化しないけど。

だけど、もう子どもの手じゃない。



さみしい。

さみしい、さみしい、……さみしいよ。



腕を空へと伸ばして。

太陽の光を捕まえようと伸ばして。



────光ちゃんへ、手を伸ばして。



だけど届くはずもなく、ぱたりと下ろす。

そのまま顔を覆った。



「光ちゃん……っ」



泣いてなんかいない。

だけど、確かに声が震えてしまった時。



ギィ、とついさっきも聞いた音。



慌てて身を起こして振り返ったそこには、



「……輝くん」



目を見開いた、君がいた。






< 367 / 421 >

この作品をシェア

pagetop