その光を、追いかけて。




ゆっくりと顔を上げて、目を開ける。

合わせていた手を下ろして立ち上がれば、「次はあたし」と梓ちゃんがその場にしゃがみこんだ。



その後ろにはもちろん輝くんが控えている。






10月に入り、もうすぐ光ちゃんの最初の余命の日だなぁという頃。

3人で光ちゃんのお墓参りに来ることになった。



仁葉からお願いしたわけじゃなくて、話を振ってきたのは輝くんたちから。

「俺たちも1回くらいちゃんと挨拶をしておきたい」って。



まともに来たことのなかった仁葉だけど、その言葉に背を押され。

思い切って仁葉の昔住んでいた、光ちゃんとの思い出の街にやって来て……。

光ちゃんに声をかけに来たんだ。






< 382 / 421 >

この作品をシェア

pagetop