その光を、追いかけて。
梓ちゃんは、出会った頃はあんまり笑わない人だった。
人と可能な限り距離を取って、いつもひとりで頬杖をついているような。
そんな感じで、手負いの獣みたいな雰囲気をまとっていた。
でもね、今じゃ仁葉と同じ……ううん、それ以上のテンションで話をしてくれるの。
ドジばっかりしてる仁葉を助けてくれるけど、猫可愛がりしてくる。
だからまるで親バカなママみたいだなぁってちょっと思ってるんだ。
そんな梓ちゃんは、実は人間嫌いで……特に男子が嫌いなんだって。
前に梓ちゃんは辛そうだったけど、それでも話を聞かせてくれたことがある。
「よくあることだよ」なんて笑っていた姿がどうしようもなく切なかったし、仁葉も苦しくなった思い出がある。
でもね、今だに男子には冷たいけど、女の子には優しくなってきたんだ。
これってきっと、過去を乗り越えてきたってことでしょ?
仁葉はそれがすごく嬉しいんだ。