その光を、追いかけて。




とんとん、と真っ白な扉からノックの音。

「どうぞ」と声をかけて、読んでいた本を閉じた。



そこから久しぶりに顔を出してくれたのは、クラスの友だち。

男子がふたり、女子がひとりだ。



「光、久しぶりーっ」

「体調はどう?」



笑顔を浮かべながら気遣わしげな瞳。



「うん、大丈夫だよ。
来てくれて嬉しいな」



笑って身を起こせば、ほっとしたように息を吐く3人。

みんな口を揃えてよかった、と言う。



「あ、これ。お見舞い」



定番の果物。

スーパーの袋に入ったものをそのまま渡してくるあたりが学生だね。



「わざわざそんな、手ぶらでよかったのに。ごめんね、ありがとう」



受け取ってしばらくの間、ぽつぽつとぎこちない会話を交わしていると、



「光ちゃん!」



突然開いた扉から、ランドセル姿の小学生が飛び出してきた。

いくつになってもツインテールの彼女は5つ年下の幼馴染、仁葉だ。






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