その光を、追いかけて。
「初めに言ったよな。俺には近づくなって」
それなのに、なんで。
掠れた声で告げられたその言葉。
それがまるで、泣いてるみたいに聞こえた。
「……君がいつも、さみしそうな。
悲しそうな、冷たい瞳をしてるからだよ」
目を見開いた坂元くんの額に手を乗せる。
そのままなぞるようにまぶたの上へ。
目を閉じるように促した。
「坂元くん、今日はもうお休みして?
高い熱なんだからしっかり寝て、ちゃんと治さなきゃ」
「すずみ、」
「なにも考えないで。
熱の時くらい、ただ甘えていいんだよ」
「……」
「おやすみなさい、坂元くん」
指先から熱が仁葉の中に流れこむ。
辛いね、苦しいね。
どうか、夢の中では、君の望む優しい世界が広がっていますように。
仁葉が祈る中。
目の端を、そっと雫が滑り落ちた。