その光を、追いかけて。
うう、恥ずかしい。
坂元くんと仁葉はそういう関係じゃないのにね。
でも、そっか。
光ちゃんのことを知らない人からしたら、仁葉たちの距離は近すぎるのかもしれないね。
仁葉には、光ちゃんだけなのに……。
でも、今のまま坂元くんを放置なんてできない。
そんなことをしたら、取り返しのつかないことになりそう。
なにかが起きてしまって、また仁葉は後悔する未来が予想できたんだもん。
だから、もうちょっとだけ。
梓ちゃんと、3人で仲よくなれるまで。
それまではこの勘違いを正して回ることはできない。
それでも、仁葉の心の中には光ちゃんだけがいるよ。
だから光ちゃん、……気にしないでね。
「じゃあ、仁葉は坂元くんのママが来る前に教室に戻りまーす」
「はい、ご苦労様」
「先生、坂元くんをよろしくね」
ひらり。
手を振って、保健室を出る。
扉を閉めたところではぁ、と大きく深呼吸。
そのまま仁葉は教室に向かった。