その光を、追いかけて。
ガタンガタン────。
揺れてもぎゅうぎゅう詰めで、身動きはあまりとれない電車内。
仁葉はふああっ、と大きな欠伸をしていた。
んん、朝はやっぱり眠いなぁ。
上手いこと扉のところを陣取ることが出来るようになってからは、痴漢にも合わないし。
周りの女の子たちと比べて、比較的平和な電車通学。
っていうか、仁葉の見た目が子どもっぽすぎるのか、そんな被害にはなかなか合わないんだけどね。
……いいんだか、悪いんだか。
ふぅ、と息を吐く。
────坂元くんは本格的に体調を崩したのか、あれから2日間も学校を休んでいる。
病弱ってわけじゃなさそうだから、よっぽど無理してたんだろうね。
うん……、うん。
坂元くんってそんな感じ。
隙を見せたがらなくて、人には頼らない。
可能な限り、自分ひとりで生きていくって誓っていそうなイメージ。