その光を、追いかけて。




昨日も来てなかったし、仁葉の前の席が空いているのはさみしい。

なんだかんだでよくおしゃべりしてたからね。



梓ちゃんは「邪魔者がいない……!」って瞳をキラキラさせながら喜んでたけど。



今日は来るかなぁ。

仁葉は坂元くんに会いたいんだけどなぁ。






仁葉たちの学校の最寄り駅のひとつ前で止まった電車。

仁葉がもたれているのと反対側の扉が開く。



流れこんできた人に潰されないようにしていると、扉の方で同じように人を避けている人。

目に入ったその姿に目を見開いた。



坂元くんだ……!



わー、わー、元気になったのかな?

朝弱いのに、坂元くんも電車通学だったんだなぁ。

しかも同じ方面だったなんて、知らなかったよ!



そんなことがふわふわと浮かぶ思考が、突然焦りに包まれる。



坂元くんの頭が、揺れてる。

ゆらゆら。

まるで熱で支えられなくなった────あの日みたいに。






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