その光を、追いかけて。
「っ、すみません!」
一瞬たりとも迷わず、扉の特等席から離れる。
謝りながら、迷惑そうな表情をした人たちの間を抜けた。
「坂元くん、大丈夫⁈」
肩を掴むと、顔を上げた坂元くん。
丸い、驚いた瞳。
「え……?」
「しんどい? 熱はある?
次でちょうど最寄り駅だよ。
耐えられそう?」
「は?」
「仁葉の肩に掴まっていいからね!
頑張って支えるから!」
「ちょ、待て」
「ああでも、仁葉だけじゃ不安だよね。
どうしよう、誰か助けてくれそうな人は……」
「鈴宮!」
強い力で腕を引かれる。
わわ、これは支えにくいよ!
ってあれ……?
違和感に首を傾げる。
「坂元くん、さっきより元気そうだね」
「ずっと元気だよ」
え、それは嘘だぁ。
さっきまた倒れそうになってたもん!
「眠くてうたた寝してただけ」
「え」
「馬鹿だろ、お前」