その光を、追いかけて。
そっか。
……そっかぁ。
仁葉の勘違いだったんだ。
体調が悪い時に、眠そうって思って。
寝ている時に、しんどそうって思って。
仁葉の目、だめだめなんだね。
ちっともわかってない。
安心して、思わず体の力が抜けて座りこみそうになる。
へにゃりとだらしなく笑った。
「じゃあ坂元くん、もう治ったんだよね? よかったぁ」
ゆっくりと電車が止まる。
「あ、坂元くん着いたよ!」
「……」
「坂元くん?」
なにも言わず、先に降りた彼のあとを追う。
ちょうど道ができたみたいになって、いつもより車内が動きやすい。
「俺、お前と一緒に行く気ないから。
道が同じなのはどうしようもないけど、話しかけてくんな」
冷たい言葉を吐き出して、足早に歩き出す坂元くん。
彼の後ろ姿を見つめながら、仁葉は静かに足を止めた。