その光を、追いかけて。




トン、と足が後ろの席にぶつかる。



「あ、ごめんね」

「……」



坂元くんが閉じていたまぶたを開ける。

仁葉と梓ちゃんの姿を見て、はぁ、と重い息を吐き出してから立ち上がった。



そのまま教室を出て行く。

もうすぐ授業なのに、いいのかな。



……仁葉が声をかけたせい?



「仁葉?」

「あ、梓ちゃん、ごめん。
もう1回お願いしてもいい?」



首を傾げて、手を合わせる。

梓ちゃんの時間を割いてもらって教わっているのに、失礼だよね。



「いいの?」

「え?」

「坂元のこと、いいの?」



梓ちゃんは坂元くんに興味ないけど、いつも仁葉が気にしてるからだね。

わざわざそう訊いてくれる。



「うーん、よくないけど。
でも、また近づくなーって言われちゃったし。
あんまり関わっちゃ悪いかもなぁって」



そう言って、困ったように笑ってみせると、梓ちゃんの瞳が冷たいものに変わる。






「────気に入らないわ」






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