その光を、追いかけて。
「はぁ、っは……」
自分の体力のなさを再確認。
うう、仁葉って本当、持久力もスピードもないなぁ。
荒い息をしたまま屋上前の階段へ。
扉が少し空いているみたいで、埃っぽい階段に光が差している。
「──して、──の」
これは……梓ちゃんの声。
よかった、当たりだ!
いなかったらどうしようってちょっと思ってたんだ。
そっと扉の前に立つ。
はっきりと声が聴こえるようになった。
「仁葉を遠ざけて、なにがしたいの?」
「なにも。
河内も俺が嫌いなくせに関わってくるな」
ああ、やっぱり。
また揉めてる……。
しかも、坂元くんってば梓ちゃんの怒りそうなこと言ってるし。
火に油だよ、それ。
梓ちゃんのこと、気になってるのにそんなこと……あ、もしかして、逆?
気になってるから言っちゃうの?
うーん、それにしてもこの発言は失敗だよ。