その光を、追いかけて。
この話を仁葉が聞いたのは、1年生の頃。
梓ちゃんが人間嫌いになってから2年後だった。
おばあさんたちは梓ちゃんのことをすごく心配していたらしい。
仁葉に会った瞬間、抱き締められながらお礼を言われたことをよく覚えている。
だって、2年もの間、梓ちゃんはひとりぼっちで。
ただひたすら孤独を誤魔化していたんだもん。
見守ることしかできなかったおばあさんたちは、そりゃ辛かったよね。
話を聞いた頃から随分ましになった。
それでも、梓ちゃんにとってこの話はそんな簡単に人に話せるような出来事じゃない。
なのに、仁葉のために坂元くんに話している梓ちゃんは本当に優しいね。
「たくさんのものを諦めていたけど……、あたしは仁葉に出会った」